刺激的な山田君

大蔵山スタジオの山田社長が、私の仕事場であるCULASTAに応援打ち合わせに来てくれた。

彼とは小中高の同級生である。
小学校の時から彼は作文が得意で、2年生の頃、県の作文大会に選抜されたりしていた。
周りのみんなは、あまり気にしていなかったけど、明らかに天才的な文才を持っていた。
そんな彼に当時どうやって、そんなすごい作文を書くのかコツを聞くと、
信じられない量の本を彼は読破していたことを告げられる。正直信じられなかった。
絵がない本を読むことが、楽しいと感じたことがなかった私は、当時山田くんが大人に感じたのを覚えている。

当時、漫画しか本を読んだことがなかった私は、彼の作文の能力を1年で追い抜く目標をたて、
来年の作文は俺が県大会に出ると決めた。
当時小学2年生で、本が高価で買えず、小学校の図書館、地区の図書館に初めて通うようになる。
週に一度、まとめて借りて、返すタイミングで返却する。
これを繰り返し繰り返し、回していき、いつしか、読む本がなくなった。

一年以上経過したある日、図書館で一番本を借りたということで、全校生徒の前で表彰された。
しかし、本のレンタル記録なんて私には全く嬉しい表彰ではなかった。
当時、学んだのは、インプットの量ではなく、一冊の本に対して、どれだけ文脈を学べるかということだった。
本をたくさん読んでも、読んでいるうちに、前に読んだ本の内容が飛んでいる。
大谷翔平選手のスイングを見て、どう自分自身に落とし込めるか、
落とし込み能力のようなものを鍛える必要があった。
同時に適正もこの時感じた。
山田くんに、本を読むことを教えてもらい、作文を頑張ったが、作文で表彰されることはなかった。

振り返れば、当時、あんな小さい頃から、独特の作家的な風情を持っていた。
言葉で、相手の心を動かす文を作れる天才だった。

小さい時から刺激をくれる山田君、、、その夜は。また刺激的な丸森の夜を案内された。

【丸森キャンプ場にて】

打ち合わせの後、山田君のお誘いで、大蔵山スタジオの皆さんと、株式会社スティーブアスタリスクさんの東京からお越しの皆さん、伊具緑化さんらの研修会、交流会に参加させていただいた。

丸森町のクリエイティヴ産業を代表する三社の織りなす、人材たちによるグルーヴは素晴らしかった。そして、地元丸森町の人と人が関わり合って、このキャンプ場の空間は紡がれている。


一番、印象的だったのは
東京から来たスティーブの女性スタッフさんが、初見の私と伊具緑化阿部君に対して
”こんな仕事させていただけて、幸せです”とまっすぐな目で、瞳をうるうるさせながら言葉を発していたのがとても印象的だった。私と阿部君の子達の年齢とさほど変わらない、娘さんが、こんなに真っ直ぐに仕事が幸せだと言ってくる事がスティーブさんの働く環境の素晴らしさを物語っていたし、なんだか、阿部君と、私は目頭が熱くなっていた。

まるで加水・消毒なしの山奥の天然源泉に使っているような、ずっと浸かっていたくなるような素晴らしい空間だった。

【帰りの時】

帰路に着く頃、山田君が仕事を、事業を動かしていく上で大切にしている事、考え方について教えてもらった。それは横っ面を思い切り叩かれるような衝撃だった。
概要を伝えるのであれば、彼が目指している道はまさに芸術的なアプローチであり、
小学生の時の彼の作文のように、とても刺激的だった。”ガツン”と、自分の中が振動した。なかなか、社会の中で、こう言う類のショックをもらえることは少ない。

作文と違って、図書館に行けば解決する問題ではないけど、この日の山田君の意見は忘れない。
約40年前?から相変わらず、刺激的な山田君だ。

今の山田君なら、この日の出来事を素敵に作文で描くのだろうなと確信しながら、二人で帰路についた。

(続く)

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